糖尿病は更年期を迎える女性が特に気をつけるべき病気

女性は結婚、妊娠、出産、更年期など様々なライフステージの変化によって体や心の状態が変化します。また、こうした変化の背景には女性ホルモンのエストロゲンが大きく関係しています。

とくに誰もが経験する更年期には多種多様な症状が現れますが、更年期以降に発症しやすいとされている病気が“糖尿病”です。

ここでは、更年期女性が気をつけたい糖尿病について詳しくご紹介していきます。

糖尿病の症状について

糖尿病とは血糖値が常に高い状態が続く病気です。

そもそも血糖値というのは血液中に含まれる糖質を示す値で、「血糖値が高い=血液中の糖質が多い」ということになります。

そもそも、誰でも食事をすると一時的に血糖値が高くなります。しかし、血糖値が高くなると同時に膵臓から分泌されるインスリンによって糖質はエネルギーに変わり、次第に血糖値は元通りになります。

ところが、インスリンの働きが低下することで糖質は時間が経過しても血糖値がもとに戻らなくなってしまいます。この症状を糖尿病と呼びます。

また、糖尿病というのは初期段階では自覚症状がほとんどありませんので、放置されやすい傾向があります。

しかし、糖尿病は放置しておくと当然症状は悪化します。血管壁がもろくなる、血管が詰まる、破裂するなどの重大な事態になってしまうケースがあります。なお、血管は全身に張り巡らされているものなので、血管にダメージを受けると全身に悪影響を与えることとなります。

もしも糖尿病をそのまま放置してしまうと合併症が起こり、失明、手足の壊疽、透析治療が必要となることもあります。

糖尿病は自覚症状なくゆっくりと症状が進行していく病気ですが、初期に現れやすい症状がありますので覚えておきましょう。

糖尿病初期に現れやすい症状

食欲増進

喉の渇き

倦怠感

疲労感

足のしびれ

足がつりやすい

上記の症状はごく一部ではありますが、もしも当てはまる症状を感じている場合には一度病院へ相談してみるようにしましょう。

糖尿病の原因

暴飲暴食

先程もお伝えした通り、糖尿病は血液中に含まれる糖質が慢性的に多い病気です。

現在、糖尿病は日本国内で患者数が多く、糖尿病患者と予備軍を合わせると推定2000万人いると言われています。

糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」がありますが、10人中9人は2型糖尿病患者です。

2型糖尿病は糖質を代謝するインスリンの分泌量が不足している、あるいはインスリンが十分に作用していないことで高血糖値が続きます。

2型糖尿病の特徴としては、生活習慣が大きく関係しており、食べすぎ、飲みすぎ、ストレス、運動不足など複数の要因が重なると発症します。また、遺伝も影響する事がわかっているため、家族に糖尿病患者がいる場合には発症リスクが高くなります。

なお、糖尿病患者は40代以上の中高年の割合が高いですが、最近では若い世代でも発症するケースもあります。

また、女性は男性に比べて糖尿病になりにくい傾向があります。その理由は、女性ホルモンのエストロゲンがインスリンの働きをサポートするからです。

しかし、エストロゲンは閉経前後に徐々に分泌量が減少しはじめ、閉経後には激減します。その結果、更年期を迎えた女性はインスリンの働きが低下しますので、糖尿病になりやすい傾向があります。

なお、高血糖の状態は更年期に起こりやすい不調(火照り、頭痛、めまい、動悸など)と良く似ているため、糖尿病の初期症状だと気づかず「更年期だから…」と見過ごして症状が進行してしまう可能性があるため注意が必要です。

糖尿病の検査

病院の診察室

糖尿病は自覚症状がほとんどない病気のため、症状が進行してから発覚することが多いです。しかし、発見が遅くなると治療にかかる時間とお金は膨大になり、体にも負担がかかってしまうため早期発見早期治療が重要となります。

 

とくに更年期女性は糖尿病になりやすいため、閉経前後に体に不調を感じた場合には検査を受けるようにしましょう。

糖尿病の検査は内科や糖尿病内科などで受けることができます。

代表的な検査は血液検査で、“空腹時血糖値”と“HbA1c”という項目に注目します。

空腹時血糖値は、空腹時の血液中に含まれる血糖値の状態が分かる項目で、日本人間ドック学会によると結果が99mg/dL以下が標準、100~125mg/dLは要注意、126mg/dL以上を異常値としています。

また、HbA1cは過去1〜2ヶ月の血糖値の状態が分かる項目で、5.5%以下が標準、5.6〜6.4%は要注意、6.5%以上は異常値としています。

他にも尿検査では、陰性(-)が標準、(±)だと要注意、(+)が異常としています。

また、病院へ行く前に自身で糖尿病の可能性をチェックすることができます。

家族や親戚に糖尿病の治療中、過去になった事がある人がいる

40歳以上

肥満気味

毎日ほとんど体を動かさない

食事は炭水化物が中心

妊娠中に妊娠糖尿病の疑いがあった

3500g以上の赤ちゃんを産んだ

1年間で5kg以上太った

繰り返し膀胱炎や膣カンジダ症を発症している

疲れが溜まりやすい

上記項目に当てはまる場合には糖尿病の可能性がありますので、病院の受診をおすすめします。

糖尿病の治療法

薬と聴診器と注射

糖尿病と病院で診断された場合でも自覚症状がないからと言って今まで通り生活していると症状は悪化します。また、糖尿病は放置していて改善されることはありませんので、決して治療は先延ばしせず、取り返しのつかない状態になる前に治療を開始しましょう。

治療では血糖値を正常に近づけるための様々な方法を組み合わせていきます。

はじめには食事療法と運動療法、そして生活習慣の見直しが基本となります。糖尿病は生活習慣の要因が大きく関係しているため、これらを改善することで血糖値が正常に戻っていきます。

しかし、これらの治療方法を2〜3ヶ月継続しても改善されない場合には、薬を使用した薬物療法を開始することとなります。

薬物療法では血糖値を低下させる経口血糖降下剤が使用され、血糖値をコントロールしていきます。こうした経口血糖降下剤には様々な種類があり、症状に応じて複数組み合わせて処方されることもあります。

ただし、経口血糖降下剤で症状が改善されない場合には、インスリン製剤を注射することもあります。

なお、薬物療法によって糖尿病を治療する場合でも食事療法と運動療法は続けなければなりません。途中でやめると再びインスリンの働きが低下したり、薬の作用が変わってしまったりする恐れがあります。そのため、健康で快適な生活を送るためにはきちんと糖尿病と向き合って治療に取り組むようにしましょう。

糖尿病の予防法

糖尿病を防ぐためには食生活と運動習慣に注目する必要があります。

この2つに気をつけて過ごすことで血糖値が適切にコントロールされ、糖尿病を予防できます。

ここでは、すぐにでも始められる生活のポイントについてまとめています。

食生活

よく噛んでゆっくり食べる

咀嚼回数を増やすことで満腹感が得やすくなり、腸からインスリン分泌を促進するホルモンが増加します。

野菜から食べる

炭水化物よりも先に野菜を食べることで糖質の吸収が穏やかになり、高血糖を防げます。

糖質を選ぶなら“茶色の糖質”を

同じ糖質でも、白米、うどん、食パンなど白色の糖質は体へ吸収されやすい傾向があります。一方で雑穀米、玄米、全粒粉パンなど茶色の糖質は食物繊維を豊富に含有しており、ゆっくりと体へ吸収されていくため血糖値の上昇を抑えられます。

運動

食後の運動を心がける

食事で摂取した糖質は徐々に筋肉へ運ばれてエネルギーへと変換されるため、運動をするなら食後がおすすめです。

なるべく歩く

いざ運動を始めるとなれば気が重たくなり、運動が続かなくなってしまいます。そのため、通勤時に1駅歩くようにする、階段で上り下りするといった簡単な運動から取り入れてみましょう。

歩数計で運動状況を管理する

自分がどのくらい運動したか目に見えることでやる気が出てきます。現在では万歩計やスマートフォンで歩数を管理できますし、歩数に応じてポイントが貯まるアプリを使えば運動習慣が身につくだけでなくお得な特典を受けられます。

隠れ糖尿病に注意

医師に相談する女性

健康診断では一度も血糖値で引っかかったことがないから自分は大丈夫!そう思っている方も安心はできません。

というのも、血液検査では異常がなかった場合でも、実際には糖尿病患者と同じくらい食後の血糖値が上昇する“隠れ糖尿病”が存在します。

通常、食後しばらくするとインスリンの働きで血糖値は下がりますが、隠れ糖尿病の場合には時間が経過してもインスリンの働きが弱いため血糖値がもとに戻りません。しかし、こうした隠れ糖尿病は空腹時の血糖値は通常の人と変わらないため、健康診断などでの血液検査では糖尿病と発見することができません。

そのため、知らないうちに糖尿病が進行してしまい、気づいたときには重度の糖尿病に発展している危険性があります。

ただし、隠れ糖尿病はブドウ糖負荷試験によって発見することができます。

ブドウ糖負荷試験では血糖値が正常(問題なし)、境界型(糖尿病になる可能性が高い予備軍)、糖尿病(要治療)のどれに分類されるのかがはっきりします。

糖尿病は生活習慣によって発症する非常に恐ろしい病気です。

誰にでもなり得る可能性があるため、自分は大丈夫と過信せずに生活の改善を行なっていきましょう。