血圧が安定しないのは更年期のせい?

女性の健康は、更年期で大きく変動します。もちろん、これまでと変わらず生活できている方もいますが、何かしら不調を訴える女性の割合のほうが多いです。

また、女性は更年期に差し掛かると高血圧になる方が急増し、それに伴って生活習慣病の発症リスクが上昇します。

ここでは、更年期女性が気をつけたい高血圧症についてまとめています。

高血圧症の症状について

高血圧症とは、慢性的に血圧が高い状態を指します。

そもそも血圧というのは、血管壁に与えられる圧力のことで、誰しも激しい運動をする、寒暖差を感じたとき、急に起き上がったときなどの動作で一時的に血圧は上昇します。

しかし、高血圧症になると安静にしていても常に血圧が高い状態になり、血管に負担がかかります。そうすると、動脈硬化を引き起こし、狭心症・心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤、腎硬化症など命に関わるような合併症を招いてしまいます。

しかし、高血圧症は発症しても自覚症状がほとんどありません。そのため、放置してしまう方も居ますが、知らない間に全身の動脈硬化が進行し、いきなり発作を起こす恐れがあります。よって、日頃から血圧の管理をしておくことが大切と言えるでしょう。

なお、高血圧の定義は日本高血圧学会で定められており、3段階で分けられています。

診察室での血圧

最高血圧(収縮期血圧)/最低血圧(拡張期血圧)

Ⅰ度高血圧:140〜159/90〜99

Ⅱ度高血圧:140〜179/100〜109

Ⅲ度高血圧:≧180/≧110

家庭内での血圧

最高血圧(収縮期血圧)/最低血圧(拡張期血圧)

Ⅰ度高血圧:135〜144/85〜89

Ⅱ度高血圧:145/90〜99

Ⅲ度高血圧:≧160/≧100

高血圧かどうかは上記の数値を参考にしていただくことで判断できますので、当てはまる方は医師の診察を受けるようにしましょう。

高血圧症の原因

日本人の高血圧症患者のおよそ9割は本態性高血圧症です。

本態性高血圧症とは、はっきりとした原因が明らかではない高血圧症のことですが、主に生活習慣、食生活、ストレス、加齢、遺伝等様々な要因が関係していると考えられています。

食生活

日々の食生活で塩分を過剰摂取していると、体は塩分濃度を薄めるために水分が増えます。すると全体の血液量も増加し、血圧を高める原因となります。

また、余分なナトリウム(塩分)は腎臓で排出されますが、野菜や果物に含まれるカリウムが不足しているとナトリウムを十分排出できなくなってしまいます。

生活習慣

体を動かすことで血流は促進されますが、長時間同じ姿勢で過ごしている場合には血流が悪化して血圧が上がってしまいます。また、タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用がありますので、喫煙する方も注意が必要です。

ストレス

過度の不安や緊張などの精神的なストレスは交感神経を活発化させる作用があります。すると、心臓の収縮力を強くして心拍数が増加します。その結果、血液量が増加して血管を圧迫することとなります。

遺伝(体質)

高血圧患者の約半分は遺伝によって発症していると言われています。また、家族は生活習慣も似ているため、両親や祖父母などに高血圧症の方がいる場合には、自身も高血圧症になる体質を受け継いでいる可能性があります。

 

上記の他にも女性は更年期になると血圧が不安定になりやすく、高血圧症の患者数が急増します。

更年期に患者数が増加する理由は、卵巣機能低下によるエストロゲンの減少です。

エストロゲンには血管をしなやかにする作用や血管を拡張させる作用がありますが、更年期でエストロゲンの分泌量が減少します。すると血圧は次第に上昇し、高血圧症になりやすい状況となります。

高血圧症の検査

原因

加齢に伴い血圧は上昇傾向にあり、高血圧症の患者は推定4300万人存在していると言われています。しかし、最近では若い世代の2〜3割は血圧が高いという報告もあり、年齢問わず血圧には気をつけなければなりません。

また、高血圧は自覚症状がないため、治療を受けずに放置している方も多いです。しかし、そのままにしておくと取り返しのつかない状態になる恐れがあるため、早期発見早期治療を心がけましょう。

高血圧症の検査は、一般的に血圧計によって測定します。

血圧計では心臓が収縮・拡張する際の血圧が数値で表示され、健康状態の把握や様々な病気の診断の際に使用されます。

数値は高くなるほど重度の高血圧症と診断され、深刻な病気を引き起こすリスクも大きくなります。

また、他にも原因不明の本態性高血圧症なのか病気が原因で発症している二次性高血圧症なのか調べる検査も行われます。検査内容は問診、血液検査、尿検査、心電図などがあり、高血圧症と併発している疾患を調べます。

なお、二次性高血圧症と診断された場合(疑い含む)には、さらに正確に診断するためにMRIやCTなどの精密検査を受けることとなります。

高血圧症の治療法

本態性高血圧症の場合、発症の原因は定かではないものの、生活習慣が要因となっていることが大半です。そのため、生活習慣の改善を中心に治療を進めていきます。

減塩を心がけた食事

食生活で第一に見直したいのが食事での塩分で、特に日本人は塩分を過剰摂取している傾向があります。日本高血圧学会における1日の塩分摂取量は6g未満に抑えるのが理想とされています。

そのため、減塩表記のある調味料に変える、酢・柑橘系・ごまなどを使用して塩分を減らす、麺類の汁物は残す、食事はなるべく外食や加工品の使用は避けるといった工夫を行ないましょう。

また、食事では余分な塩分の排出を助けるカリウムやマグネシウムを積極的に摂取するようにしましょう。

飲酒や喫煙を控える

アルコールは適量であれば血行改善作用があるため血圧を下げますが、過度の飲酒は血圧を高めます。また、喫煙は高血圧の原因かどうかは定かではないものの、喫煙によって一時的に血圧が上がります。また、動脈硬化を促進しますので、飲酒も喫煙も控えるように心がけましょう。

運動習慣を身につける

ウォーキングをする女性

体を動かすことは心身の健康に有効ですが、高血圧の改善に対する効果も期待できます。とくに肥満の方は減量するだけで血圧が下がりますので、なるべく毎日(最低でも週3〜4回)は身体を動かす習慣を身につけましょう。

なお、激しい運動はかえって血圧が上昇しますので、ウォーキング、サイクリング、エクササイズなどの自分が無理なく続けられる有酸素運動を取り入れましょう。

生活習慣を改善しても効果が現れない場合には、薬物療法を行ないます。

薬物療法では、血管拡張作用のあるカルシウム拮抗薬、余分な塩分や水分を排出する利尿剤、血圧上昇作用のあるホルモンの働きを抑えるACE阻害薬などが症状に応じて処方されます。

自宅で血圧を測る習慣を

高血圧かどうかは上記でもお伝えした通り、検査によって診断することができます。

しかし、血圧というのは常に変動しており、自宅で測定した数値と病院で測定した数値に差が現れるケースがあります。

医師や看護師などに測定してもらうと緊張して数値が高くなる場合を「白衣性高血圧」、普段の血圧は高いのに病院では血圧が下がる場合は「仮面高血圧」と呼び、実際の血圧を把握できないことがあります。そうなると、高血圧と気づかないまま症状が進行し、合併症を引き起こす恐れがあります。

そのため、自身の平常値がどのくらいの数値になるのか把握するためにも毎日血圧を測定し、記録しておきましょう。

現在では家庭用の血圧計が多数販売されており、手頃な価格で購入できるようになっています。

ただし、気をつけて測定しなければ正確な数値は出ませんので、ここでは血圧測定時に注意したいポイントを紹介します。

毎日同じ時刻に測定する

血圧は常に変動しているため、正しい数値を調べるためにも毎日同じ時間帯に測定するようにしましょう。また、朝と夜(起床時と就寝前)の2回測定することで、より正確な平均値が分かります。

リラックスした状態で測定する

血圧は様々な影響を受けやすく、食事、飲酒、喫煙、運動、入浴などの直後の測定は避けましょう。落ち着いたタイミングで大きく深呼吸をすることをおすすめします。

姿勢に注意する

血圧を測る正しい姿勢

最近では手首や指で測定できる血圧計もありますが、上腕部にベルトを巻きつけるタイプが正確とされています。

測定する際は心臓とほぼ同じ高さの位置でベルトを巻き、背筋を伸ばして椅子に腰掛けてください。この状態で1〜2分程度安静にすると血圧は安定してきますので、測定を開始してください。